gotop

  • 身元保証
  • 生活支援
  • 葬送支援
  • 弁護士法人による支援
  • ご相談・ご契約について
  • シングルライフ
  • よくあるご質問
きずなカフェ
  • HOME >
  • きずなカフェ

きずなカフェでは、医療関連や法律関連を始めとした、様々なお役立ち情報を配信しております。
是非ご一読ください。

高齢者が巻き込まれるネットの闇 出会い系「サクラサイト」被害

石渡幸子 (いしわたり・ゆきこ)弁護士

「あなたのような方に出会えて、僕は本当に幸せです!」
「●●さんのアドバイスで、私は救われました。私の恩人です!」
 こんな言葉、人生で何度、あなたは言われたことがありますか?
 たとえばメールの文字であったとしても、言われたら嬉しい言葉には違いありません。
 それが、以前から気にかけていて、自分が転職相談や人生相談にのってあげていた若者から言われたのであれば、なおさら充実感や満足感で、言葉の魅力も輝きます。

 ただし……そのメール相手、ホンモノですか??

 “出会い系”といわれるサイトなどで、一般利用者に扮した「サクラ」が、巧みなやりとりを通して、相手をその気にさせ、利用料などをまきあげていく――そんな「サクラサイト」が社会的に問題となってから、しばらくたちます。そして、この被害はまだまだ健在で、残念なことにその魔の手は高齢者にまで伸びているのです。
 高齢被害者の特徴は、何より被害金額が高額であること。
 その額、数百万円から数千万円にまで! 全財産をむしり取られて、家まで失う羽目になる人もいるほど、実にひどい被害です。
 しかも、騙されるのは、真面目な人や面倒見の良い人で、以前に看護師さんや学校の先生、会社の役員などをしていた方々も多いのです。困った人に手を差し伸べるという善意――そこにつけこむ、許せない詐欺被害。それが、サクラサイトです。

 それにしても、どうして高齢者のサクラサイト被害が増えてきたのでしょう? 
 理由には、高齢者でもネット利用頻度が高くなるにつれ、本人が知らない内に、“出会い系サイト”に誘導されてしまっている……といったネット環境にあります。
 そもそも、サクラサイト詐欺に遭う方の相当数は、自分で出会い系サイトに登録したのではない、アドレスを盗まれた方々なのです。
 そして、あなたを頼って、慕って、メールのやり取りしていた相手の正体は、実在の人ではなくて、機械ソフトが作り上げた架空のキャラクターだったり、時給で雇われたアルバイト! 

 たとえば、仲間との連絡用に、無料メールを利用したり、海外旅行や競馬や株のリサーチにサイト検索を駆使したりしている方も多いでしょう。また、無料の懸賞サイトや占いサイトも、人気があったりしますよね。
 しかし、『無料』と称する占いサイトやアルバイト応募サイト、懸賞サイト等の中には、アドレスや個人情報を入手してデータとして、これら出会い系サイト業者に売りつける『名簿屋』、『広告業者』が存在します。
 うっかり、無料サイトだと思って不用意にアンケートに答えたりアドレスを教えたりすることは十分気を付けましょう。

 皆さんの周りには、深夜や早朝といった不自然な時間に、取りつかれるようにして携帯やパソコンをいじっていたりする人はいませんか? また、部屋やゴミ箱の中に、コンビニで高額の電子マネーを購入したレシートがあったり、ATMで使途不明な振込をしていたりする痕跡がないでしょうか。これらはいずれも、サクラサイト被害者に多く見られる特徴です。

 おかしいと思ったら、その人に直接確認するだけでなく、消費者センターなどにご相談をしてください。「188」――この番号で、お近くの消費者センターにすぐ相談を!
高齢者が巻き込まれるネットの闇 出会い系「サクラサイト」被害
石渡幸子 (いしわたり・ゆきこ)弁護士 プロフィール
東京弁護士会所属。サクラサイト被害、リース被害や投資用マンション被害などを扱う弁護士の専門集団クレジット・リース被害対策弁護団所属。サクラサイトの不法行為責任や役員責任を認めたフロンティア21事件、ウイングネット事件などを扱う。
事務所名:土曜会法律事務所

「映画に学ぶ、惚れる老い方」

編集者・ライター 稲田豊史

 古今東西、今も昔も「高齢者」をテーマにした映画は数多いですが、なかでも特におすすめしたいのは、高齢者が老いを受け止めながらも、過去ではなく「今」に全力で挑んでいる映画です。

 名優モーガン・フリーマンが温厚な自動車整備工を、怪優ジャック・ニコルソンが嫌味な大金持ちを演じた『最高の人生の見つけ方』(2008年・米)は、病院で知り合った余命わずかな老人ふたりが「棺おけリスト(棺桶に入る前にやりたいことリスト)」に書いたことをひとつずつ実行していく物語です。リストの内容は「スカイダイビングをする」「マスタング(アメ車)を乗り回す」「荘厳な景色を見る」「涙が出るほど笑う」など。ふたりはそれらを実行するため、海外へ豪遊の旅に出ます。

 老体に鞭打って「今」を精いっぱい楽しもうとするふたりの老人の姿は、チャーミングでコミカル。その一方、プライベートジェットの中やピラミッドを望む高所、食卓の席などでふたりが交わす会話には、長い人生を歩んできた男二人の人生観が凝縮されていて、滋味に富んでいます。

 しかし、本作の肝は旅先でのレジャーにはありません。実は棺おけリストに挙げたうちのいくつかは、ふたりの帰国後に意外な場面で実行されるのです。人生で一番大切なものとは何か? 映画は観客に優しく問いかけてきます。

 『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』(2015年・米)は、1950年代からインテリアデザイナーとして活動している、ド派手ファッションなばあちゃんのドキュメンタリー。ホワイトハウスの内装を任された経験もあるアイリスは、「毎日同じことを繰り返すくらいなら、いっそ何もしなきゃいい」などと語り、バイタリティあふれる毎日を見せてくれます。

 名だたるファッション誌の編集長やアパレル界の重鎮が彼女を慕う理由は、アイリスがいっときの流行に左右されず、己の感性を信じ、絶対にぶれないからでしょう。誰がなんと言おうと、自分を貫き通すことのカッコよさ。彼女はそれを教えてくれます。さすが「1940年代に初めてジーンズを穿いた女」(本人談)だけのことはあります。

 CGアニメ映画『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009年・米)の主人公は、最愛の妻・エリーと死に別れたカール。想い出に浸るだけの毎日を送る頑固な老人です。彼はふとしたきっかけから、家に大量の風船をつけて浮かび上がり、エリーと行く約束をしていた「パラダイス・フォール」という南米の伝説の滝に赴きます。

 エリーとの美しい想い出の日々を描いた感傷的な冒頭10分は号泣必至。しかし本作が真に素晴らしいのは、その後の展開です。カールは冒険の地で、「妻との大切な想い出」と「友人の命」の二択を迫られますが、それはカールが「過去」と「現在」のどちらに生きるのかを選択するということでもありました。

 その際、彼の背中を押してくれたのは、エリーのノートに書き残してあったカール宛ての言葉でした。

Thanks for the adventure. Now go have a new one!
(冒険の日々をありがとう。新しい冒険を始めて!)

 エリーが感謝しているのは、自分との楽しかった夫婦生活、つまり過去。「新しい冒険」とは言うまでもなく、カールの未来のことです。過去にこだわることなく、未来に生きてほしいと書き残した亡き妻。いつも妻が座っていた椅子を見つめ、静かに決断するカール。心に刻まれる名シーンです。

 最後に、日本の作品を紹介しましょう。建築家・津端修一さん(90歳)と英子さん(87歳)夫婦のまったりスローライフを追ったドキュメンタリー『人生フルーツ』(2016年・日)です。津端さんは名だたる団地やニュータウンの建設計画に携わるも、効率と経済性優先の時流に失望し、その反動として自給自足の半農生活に転向した方です。

 驚くのが、津端夫婦の食に対するこだわりです。食卓に並ぶのは、自宅の畑で採れた野菜やフルーツ、懇意にしている店で買う肉や魚。水はすべてミネラルウォーター。出来合いの惣菜やインスタント食品はもちろん、コンビニ食品なんてもってのほか。英子さんがじっくり時間をかけて手間のかかる料理をこしらえ、修一さんがゆっくり食む。なんと優雅な生活でしょうか。

 とてつもなく贅沢な老後です。ある程度の財力と時間がなければ叶わない、超絶的に「ていねいな生活」と言えるでしょう。しかし、そこまで食にこだわる彼らの表情の、穏やかなこと、穏やかなこと! 人生の第二ステージを設計するにあたり、現実に存在する究極の理想形を拝んでおくのも悪くないと思います。
 
 「4本とも最近の映画ばかりじゃないか」とお思いでしょうか。「自分が若い頃には、もっと良い映画がいっぱいあった」とお怒りでしょうか。
 もちろん、古い映画には古い映画の良さがあるでしょう。が、そこで描かれているのは、古い社会でしか通用しないハッピーエンドです。
 今を生きる人間が触れるべきなのは、カビの生えたノスタルジーや過去への執着ではなく、この時代・この社会・この年齢でこそ味わえる人生の醍醐味です。
 過去の名作を愛でるのもよいですが、「今」を生きるため、たまには新しい映画を観てみてはいかがでしょうか。
稲田豊史(いなだ・とよし)・プロフィール

1974年生まれ。編集者・ライター。映画配給会社ギャガ・コミュニケーションズ(現ギャガ)で勤務ののち、キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て、2013年に独立。著書に『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)。「サイゾー」「SPA!」ほかで執筆するほか、映画関係の連載やコラムを多数発表。

イタリアの単身者事情

フィレンツェ大学教授 在イタリア 鷺山郁子

 イタリアの家族、と言ったらどういったイメージが浮かぶだろうか。テーブルを囲んだ子供達の歓声の中、特大のボールに山盛りのスパゲッティを台所から運んでくるお母さん。すぐフォークを突っ込もうとする子供らをたしなめてざっくり取り分けるお父さん。確かにこういう光景が皆無というわけでもないだろうし、筆者自身、大昔、学生の頃にナポリで見聞したことがある。
 ところが、昨今の現実はかなり違うようだ。イタリア統計局などの調査によると、イタリアでは単身者が飛躍的に増えており、この10年で46%の増加率を記録したとのこと。特に都市部では、ローマで2001年に全体の28%を占めていた単身者世帯が現在では47.5%、ミラノでは32%から52,8%に及んだという結果が出ている。これには、離婚や別居の急増、また結婚年齢の上昇が関わっている。また、高齢化で一人暮らしのお年寄りが増えた事も影響していそうだ。
 こういったシングル達が、その生活に満足しているのかというと、そうではないらしい。結婚しないのは、長引く不況の影響で、経済的安定が得られないためで、実際、15−24歳では35,2%、25−34歳でも25,9%に職がないという数値はまことに深刻である。学位などに関わりなく、若者にとって安定した仕事に就くのがいかに難しいかは「卒業の日は学士様、翌日からは失業者」という笑えない警句にも明らかだ。
 当然、出生率は下がる。2015年、イタリアで生まれた子供の数は居住者1000人あたり8人、女性一人あたりでは1,37人で、ヨーロッパ連合中、最下位を記録している。

 少子高齢化問題には、相乗効果がある。お年寄りの介護は、イタリアでも家族がするのが基本だが、一人っ子だらけの昨今、昔のように兄弟姉妹が交替でその任に当たるという便宜はない。安定した職が見つからなければ年金の積立も遅れるわけで、まともな金額を貰えるようになるまで、めいっぱい働かなければならず、介護に宛てる時間的余裕もない。はたまた、息子、娘がいい歳になるまで失業者では、そちらの面倒も見なければならない。まっとうな職がないということが社会的人格形成に歯止めをかけて、いつまでたっても親に依存する若者が増える傾向にある。
 こういった負担は、概ね女性にかかって来る。親と子、双方の世話に忙殺される女性は、筆者の知人、友人にもかなりいる。そのうちの一人は、認知症の母親を最後まで看取ったが、自分自身は、行く先、子供の世話になれるとは思っていない。息子にはっきり、一人で暮らせなくなったら施設へ行ってくれと言われたし、その覚悟でいるそうだ。
 とはいえ、親を施設に預けることに抵抗を感じる人も、まだ大勢いる。その場合は、バダンテと呼ばれる付添人を雇う。主に旧東欧圏や東南アジアからの移民で、介護の訓練をうけているわけではないので、高齢者を一人にしておかないというだけのことではあるが、行政が行き届かない部分を補うには今の所これしかないようだ。
 冒頭のイメージとはうって変わって、30年前のイタリアではあり得なかった一人前の調理済み冷凍スパゲッティをあたためて、一人寂しくつつくのが、最先端のイタリアなのかも知れない。
イタリアの単身者事情
鷺山郁子・プロフィール 
フィレンツェ大学、日本語学文学教授。1981年からイタリア在住。ナポリ東洋学大学で講師を勤めた後、1987年からフィレンツェ大学に勤務。専攻は日本古典文学、特に平安時代の和歌、物語。『古今和歌集』のイタリア語訳を上梓している。