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きずなカフェでは、医療関連や法律関連を始めとした、様々なお役立ち情報を配信しております。
是非ご一読ください。

第13回 「婚活パーティ」参加の意外な目的と効能

ノンフィクション作家・新郷由起

 近年、中高年の婚活市場は活況に沸き、独身者はもとより、途中でパートナーと離別、あるいは死別により単身者となった方の中には、今後の“人生の伴走者”を求めて出会いの場へ繰り出す人が増加傾向にあります。
 何せ、平均寿命が男女とも80歳超となって、統計上では還暦を過ぎてから20年以上を生きる時代に突入しているのです。
 この先も長く続く人生を「趣味や感覚の合う相手と一緒に楽しみたい」とする、前向きな姿勢と意思力はそれだけで若返り効果が得られ、“お相手探し”自体が新しい人生の目標となって、「生きるハリが生まれた」と打ち明ける人も少なくありません。

 そうはいっても「いい年をして婚活など……」と、少しばかり尻込みをしてしまうかもしれませんね。
 でも実際に、筆者が婚活パーティの取材現場で出会った最高齢者は男性で91歳、女性が86歳です。
「いい人が見つかれば言うことないけど、何より、きちんとした格好をして出掛けて、同輩と楽しいひとときを過ごせるのが嬉しい。心が華やぐ」
 同種の発言は大変多く聞かれ、実はこうした目的からサークル感覚で集まりに参加する方も非常に多いのです。

 一口に「婚活」と言っても手段はそれぞれ。
「何が何でもパートナーをゲットしたい!」と意気込む向きは、相応の費用を投じて結婚相談所に登録するのが王道ですが、イベント会社や市区町村主催の熟年パーティや単発イベントでは参加費も低額な分、敷居も低く、気軽にエントリーできる長所があります。

 年を重ねるに連れ、どうしても「楽しい」会合や、お洒落をして外出する頻度も少なくなりがちです。
 熟年の単身男女ばかりが集まる場では、境遇や世代性から共通の話題も多く、ここだけの話、女性の参加者では同性の気の合う人と出会って、たくさんのお友達をつくられる方も目立ちます。
 生きて行く上で「談笑できる相手」はどうしても必要ですし、異性の視線がある場へ身だしなみを整えて出掛けるのは、暮らしに“非日常”を演出して背筋を正す役割も担います。

 パーティではドレスコードがない場合でも、男性はジャケット着用で女性ウケが3割以上増しに。女性は桜色や山吹色など明るい色合いの服や小物の配色で、明朗で健康的な印象に加え、女性らしさをアピールできます。
 なお、いくらハイセンスなデザインでも、男女ともに真っ黒な服装は避けること。人により喪服を連想させてしまうからです。
 また、会によっては役所で交付される「独身証明書」の提示を求められる場合があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
第13回 「婚活パーティ」参加の意外な目的と効能

※クリックすると拡大画像がご覧いただけます。

新郷由起・プロフィール

1967年生まれ。元『週刊文春』記者。
高齢者問題に精通し、恋愛・性事情から事件まで幅広く取材・執筆。
高齢者の犯罪や心の闇に迫った『老人たちの裏社会』(宝島社刊)が反響を呼ぶ。
近著に老後の幸福格差を問う『絶望老人』(同前)。

※きずなの会は『老人たちの裏社会』『絶望老人』に取材協力しました。

【第12回】「無縁社会」取材の後に・・・

NHKチーフ・プロデューサー 板垣淑子

 きずなの会を初めて訪れたのは、もう十年前になる。「NHKスペシャル無縁社会」の取材で、頼れる身内がいない人たちが、「自分の死後に迷惑をかけたくない」と納骨や遺品整理の申し込みが相次いでいるという取材だった。その時、きずなの会に紹介を受けたのが石山幸子さん(仮名)だった。
 そして、先日――石山さんの訃報が突然届いた。久しぶりにきずなの会の方々と石山さんのことを語らい、その際にこの原稿を依頼されたので、石山さんとの思い出をつづろうと思う。
「無縁社会」の取材中はもちろんのこと、放送後も何度か石山さんを訪問し、その度に歓待してもらった。
 訪れるたびに、いつも振る舞ってくれたのが「ゆで卵」。一度、「おいしい」と言って、ふたつをペロリと平らげたことを覚えていて、それ以来、いつも「ゆで卵」が用意されていた。帰り際には、お土産といって「ゆで卵と塩」を手渡された。人を喜ばせるのが大好きな、優しい人だった。そして――孤独な人だった。
 石山さんは、満州からの引き揚げ者だった。父親を戦時中に亡くし、母親と妹と帰国した日本では住む家さえなかった。四畳半一間のバラックで三人で暮らし、看護師の資格をとって家計を支えた。妹の進学費用を稼ぐため、白衣以外の洋服も買わずに働いて、妹を高校、短大へと進学させた。その妹が嫁ぐと、病弱な母親を一人で支え続けた。30代の頃、介護と仕事の両立のためにプロポーズをしてくれる男性がいても、結婚に踏み切れない時期を過ごした。40代、母親と同居し、介護を続けた。母親を看取って、一人、残されたのは40代後半だった。
 それから生涯独身を貫く覚悟で生きてきた石山さん。助産師の資格をとり、75歳まで現役で働いた。私が出会った79歳の時にも、背筋がシャンとして、ハキハキとした物言いの女性だった。
 「きずなの会」では、4月に納骨すると話してくれた。数千人が入ることのできる共同墓だ。墓の下見に一緒に訪れた時、石山さんは「これなら亡くなった後は寂しくないわね。」と笑っていた。
 墓を訪れた日、白い雪が舞い散る中で、石山さんと一緒に、先に入った魂に祈った。共同墓の前で石山さんは長い間、手を合わせていた。
 「あの世に行ったら、あの世でも看護師をしたいの。仕事をしていたら寂しくないものね。」
 納骨を終えたら共同墓へお参りに行こうと思う。そのときに、聞いてみたい。
 「あの世では、楽しくしていますか?」
 独り暮らしの高齢者が6百万人を超えて増え続けている。孤独は私たちの隣にあるのに、気づけずにいる。たった一人でもいい、「私が生きている」ことを知ってくれる人がいれば――そんな思いを抱えながら生きている人は大勢いる。その人たちの思いを受け止める一人に自分がなる――その覚悟を持てる人に私はなりたい。
【第12回】「無縁社会」取材の後に・・・
板垣淑子(いたがきよしこ)略歴

1994年NHK入局。報道局制作センター、仙台局、報道局社会番組部などを経て、大型企画開発センター所属。主な担当番組は、NHKスペシャル「ワーキングプア~働いても働いても豊かになれない(2006年)」(ギャラクシー賞大賞)、同「無縁社会~“無縁死”3万2千人の衝撃~」(菊池寛賞)、同「終の住処はどこに 老人漂流社会」(2012年)、などを制作。2015年、放送文化基金賞個人賞を受賞。

【第11回】ひとり身は明日のわが身


パリアン医師 川越厚


 2000年6月にクリニックを開設して以来、私は主に末期がん患者を対象にした在宅ケアをホスピスケアの形で提供してきました。この16年間、約2000名のがん患者を在宅で看取りましたが、その約1割は独居の方です。
 独居患者とは、私たちが関わった時に「戸籍上ひとり暮らしをしている方」と定義していますが、ひと口に独居患者といってもいろいろなタイプがあります。

 家族がいて、必要になればそばに来て看病する。このようなひとり暮らしは、私たちが関わったケースの約8割。独居といっても、家族がいる患者と変わりありません。一方、家族の力を期待できない患者が約2割います。
 私たちは、本人と家族が「家で過ごしたい」という気持ちを持っている限り、原則として私たちのほうから在宅ケアをお断りすることはありません。独居患者も、この点は全く同様です。
 その結果という訳ではないと思いますが、私たちが関わる独居の末期がん患者は、一般的にいって大変難しいケースが多いと思います。これからはこのようなひとり暮らしの方がますます増えるのは間違いありません。
 独居の末期がん患者の在宅ケアに関わって最近しみじみ思うことは、病院や施設で受け入れられないがゆえに、在宅で受け入れざるを得ないケースが増えてきていることです。だからこそ、在宅医療を託された我々が頑張らなければならないと考えています。

 在宅ケアに要する費用。これには、医療にかかる医療費、介護にかかる介護費の自己負担があります。後者は、利用したサービスにかかった費用の1ないし2割を負担しなければなりません。問題は医療費ですが、末期がん患者の在宅ケアにかかる医療費は保険診療となっているので意外と安いのです。
 国は在宅ケアの普及に目的を定め、そのために様々な改革や整備を行っています。それは、高齢者やがん末期の方にとっては家が最善だからです。

(「ひとり、家で穏やかに死ぬ方法」主婦と生活社より抜粋一部改編)
【第11回】ひとり身は明日のわが身
川越厚(かわごえ こう) 略歴

 1973年東京大学医学部卒業。茨城県立中央病院産婦人科医長、東京大学講師、白十字診療所在宅ホスピス部長を経て、1994年より6年間、賛育会病院長を務め、22床の緩和ケア病棟を立ち上げ、退職。
 2000年6月、自らのクリニックを開業すると同時に、在宅ケア支援グループ“パリアン”を設立。訪問看護、居宅介護支援、訪問介護、ボランティア等のサービスを提供する事業を展開している。
主な著書に「婦人科腫瘍学」「家庭で看取る癌患者」「家で死にたい」「やすらかな死」「在宅ホスピスケアを始める人のために」「がん患者の在宅ホスピスケア」「ひとり、家で穏やかに死ぬ方法」などがある。
2010年 第6回ヘルシー・ソサエティ賞受賞、2014年NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」出演。