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きずなカフェでは、医療関連や法律関連を始めとした、様々なお役立ち情報を配信しております。
是非ご一読ください。

【第6回】「わっ たいへんだ!」

日本大学板橋病院 MSW荷見千草

“先生、私どうしていいかわからなくて、どうしましょう?”

 彼女は職場の先輩だった。普段はゴルフをしたり、男性の同僚と麻雀に興じたりしている人だったが、持病が悪化して緊急入院をしたら、長年住んでいたアパートの大家さんから今回は更新しない退去してくれと言われてしまった、というのである。
 ご兄弟は、心配して近くに転居してきたらと奨めてくれるが、主治医のいる病院から離れたところに引っ越すのは不安だし、病院の近くに住む家もないしとパニック状態で当時の主任ソーシャルワーカーのところに相談に来たのだった。

 いつもは仕事をバリバリこなす彼女がしおしおとなってしまっている様子を見て私は、大変だ、今目の前にいる先輩はそのまま将来の私だと、とっさに思ったのである。

 数日後に私は、マンションの新聞広告を握りしめ、販売会社の営業マンとローンの相談をしていた。今から20数年前自宅を購入するきっかけになった出来事である。

 日本が少子高齢化の道をひたすら走っているということは、私が言うまでもない周知のことである。ここ10年ほど、相談室に持ち込まれる相談で増加しているのは、保証人のいない患者さんのケースである。

 当院は特定機能病院であり、また救命医療の先端を担っている病院であり、患者さんは様々な背景を持っている。MSW部門が難渋するのは一定の資産があるが、単身、独り暮らしで保証人がいない、お金の管理も含め患者さんの身の回りのお世話をする人もいないというような患者さんである。
 団塊世代が退職し一定の年金を受給できる人たちが増える一方、高齢化が進み夫婦に子どもふたりという標準世帯にも徐々に単身化が進んでいく現象が起きている。欧米とは異なり、配偶者と死別した場合の再婚率はまだ低いため、年老いて独り暮らしになる人々が増えているのである。
 家がない、お金がないという人々は生活保護の制度が一定の対応をしてくれるが、保護基準を上回る年金を受給している人々には、既存の保護の制度では対応できない。皮肉な現象だが、お役所は納税者を助けてくれないという事態がおきているのである。
 もちろん、お役人が住民に意地悪をしているのではなく、既存の法律が独り暮らしの人々がこんなにたくさんいるという事態に対応できていないのである。
 もちろん私たちMSWも後見制度を利用したり、NPOの身元保証を利用するなどの方法は講じている。
近頃、終活などという言葉も聞かれるようになってきたが、私たち一人一人が日々をどのように生きていくのか、老いも若きも今日今から考えていかなければならないと切実に感じる日々である。
【第6回】「わっ たいへんだ!」
荷見千草・プロフィール
日本社会事業大学卒業
日本大学板橋病院 医療福祉相談室主任
精神保健参与員